資産形成の手段として最も安全なものは貯金です。しかしタンス預金は言うまでも無く、今日の金利情勢では普通預金をしているだけでは現金預金は中々増えません。そこで手持ちの現金を何かに投資して運用する発想が出てきます。
資産運用には、株式投資、投資信託、債券投資などがあります。これらの中で最も人気が高いのは、おそらく株式投資でしょう。
株式投資をする主な目的は、株式の時価の変動により売却益(キャピタルゲイン)を得ること、株式の受取配当金(インカムゲイン)を得ることですが、それ以外にも株主優待を得ることを目的とする投資家がいます。
株主優待とは、事業会社が自らの事業に関連する財・サービスを、所定の基準日に株主であった者に対して一定の株式数に応じて交付することをいいます。
財・サービスには自社製品、割引クーポン券をはじめクオカード、ギフトセット、お米などバラエティに富んでいます。上の画像はキリンHDの株主限定ビールセットです。
株取引はファンダメンタルズ、テクニカルといった取引手法を理解するところから始めると取っつきにくいですが、株主優待をゲットして美味しい物を楽しむ事から始めると、比較的取り組みやすいと思います。
株主優待品をもらうには優待実施企業の株主になる必要があります。そして優待の権利確定時に株主でなければなりません。株取引を初めて日の浅い投資家さん向けに株主優待取得の注意事項をまとめてみました。
規則的に並んでいる日付をクリックすると知りたい権利確定日へジャンプします。ジャンプした先には銘柄と証券コードが書かれたリンクがあります。クリックすると当該銘柄の株主優待の紹介ページへ移動することができます。
年明け最初の優待獲りになりますが、勝負は前年までについていて、大発会後の値下がりはあまりありません。
ダイドーグループHD(2590)とタカショー(7590)の2社のみです。園芸をやらぬ投資家はダイドーさんの飲み物詰め合わせに全力投球するのがベターでしょう。
1月末日は実施企業の数の割にバラエティが豊かです。自社サービスの割引券を贈呈する企業が多い印象です。
ニチリウグループに属する平和堂とオークワが決算をむかえます。アパレル小売のしまむらと西松屋チェーンの優待も2月20日に権利が確定します。
2月末は多くの小売店と飲食店が決算を迎えます。企業再編が進み優待実施企業が集約されてしまった印象はあります。
来るべき3月末日の権利確定銘柄との兼ね合いで資金繰りが難しい時期です。信用買いを上手に活用して優待の権利を沢山獲得したい。
カワチ薬品(2664)一択です。時期的に資金繰りが難しいのが悩ませます。
ここも信用取引を使って権利を取得したい。脚立メーカーのアルインコが優待を実施していて、保有期間に応じて商品券が贈呈されます。脚立がプレゼントされるようになれば是非狙いたい銘柄です。
優待投資家が1年で最も盛り上がる時期です。優待実施企業が多くバラエティに富んでいます。
信用売りを使った所謂「優待獲り」は高額逆日歩のリスクがありますが、当時期は買い銘柄が分散されるので逆日歩リスクは比較的低くなります。とはいえ安心して両建て取引をしたら逆日歩がとんでもない事になった話は毎年ありますので注意は必要です。
3月末の優待権利獲得の余勢を駆って4月末の権利銘柄も積極的な買いが入る印象です。ただ勝負は2月から3月末の間に決まっている銘柄が多く、そのような銘柄は4月に入って更に値上がりする事もあります。
早めに株を仕込めば優待の経済的利益よりキャピタルゲインが大きくなるときがあります。権利取得最終日に株を売ってキャピタルゲインを得るのが常識的判断ですが、優待投資家には難しい決断になります。
なお早めに株を仕込むデメリットとして、第三四半期の決算内容が悪ければキャピタルロスを被ることがあげられます。
5月はドラッグストアの権利確定が多いです。以前ほどではなくなりましたが、ドラッグストア銘柄は一般的に値がさ株で、資金に余裕が無いと権利を獲得できないです。
アスクル(2678)とクスリのアオキHD(3549)の2社です。ここの権利を獲るか5月末に備えるか迷います。
以前は魅力的だけど信用売りのできない優待銘柄が幾つかあり非常に悩まされた5月末日権利確定銘柄です。繊維メーカーの決算が目立ちます。小津産業の高級トイレットペーパーは優待投資家であれば一度体験して欲しい逸品です。
6月20日に権利を迎える株主優待は、キングファイルとテプラでお馴染みのキングジム(7962)、千葉県にあるホームセンターのジョイフル本田(3191)、東邦レマック(7422)の3
社です。6月末日に権利確定する銘柄が沢山控えているので冷静な売買が求められます。
6月と12月の年2回優待を実施する銘柄が中心になります。6月オンリーの銘柄では飲食店の買い物券と割引券が目立ちます。
欲しいけど値が張る銘柄と使わないけど手ごろな株価の銘柄が目立つため、12月よりも狙いが絞りづらいかもしれません。
ダイドーグループHD(2590)の優待は特別優待となっていて、その取得要件は、保有期間5年以上6年未満かつ当該優待を受けた事のない株主に限定されています。
よって7月20日に権利が確定する銘柄は実質的にタカショー(7590)のみです。園芸をやらぬ投資家は7月末日の銘柄に全力投球するのがベターでしょう。
7月の優待銘柄は6月の相場の影響を強く受けます。6月の相場が好況だと容易にキャピタルゲインと優待の両方をゲットできますが、その逆は権利落ちで株価の大幅下落が起きます。小型株で安全投資が基本路線になります。
7月末日に権利を獲得できる銘柄ではモロゾフ(2217)が人気です。そして読書家向けの丸善CHIHD(3159)、お茶の間を彩るティーライフ(3172)、焼き鳥好きに鳥貴族HD(3193)が定番銘柄になります。
金券類をもらいたい場合は、図書カードの稲葉製作所(3421)とクオカードの不二電機工業(6654)がお勧めですが、6月上旬から値上がりし始めるので早めの買い注文が必要です。
西松屋チェーン(7545)と平和堂(8276)に全力投球でしょう。
8月は夏枯れ相場といわれ取引が閑散とする月です。しかし株主優待に関しては2月の対角月にあたるので小売業の銘柄が沢山揃い中々賑やかです。
8月末日にビックカメラ(3048)とその傘下のヒト・コミュニケーションズHD(4433)及びコジマ(7513)が同時に権利取得日を迎えます。
飲食業銘柄は魚喜(2683)、イートアンドHD(2882)、ヨシムラ・フードHD(2884)、コメダHD(3543)、ユナイテッド&コレクティブ(3557)など枚挙に暇がありません。
3月20日権利確定銘柄の対角に位置します。アジュバンHDとアルインコは9月20日に優待制度を実施しません。
実施企業は事実上金券類のPLANT(7646)、セキド(9878)そして北陸名物のハチバン(9950)の3社です。
3月と9月の年2回優待を実施する銘柄に人気が集中する傾向にあります。9月のみ優待を実施している会社を見逃さぬよう注意が必要です。
9月のみ優待を実施する銘柄で人気があるのは粧美堂(7819)です。女性向け服飾雑貨を扱い、カラーコンタクトレンズの売れ行きが好調で業績も良さそうです。探求心旺盛な投資家には学研HD(9470)の自社製品、まんだらけ(2652)の書籍あたりが面白そうです。
10月末日は基本的に4月末日の銘柄を減らしたラインナップです。なおロックフィールドのように4月と10月で内容が異なるものもあるので注意が必要です。
エイチ・アイ・エス(9603)、カナモト(9678)あたりは10月オンリーの銘柄。権利落ちを恐れぬ勇敢な投資家は巴工業のワインとサトウの切り餅にアタック。
銚子丸一択です。
アスクル、北恵、象印の3銘柄です。1単元が100株となり難易度がぐんと下がりました。
11月はキユーピーグループが決算を迎えます。キユーピーにアヲハタ、キユーソー流通システムを加えた同じグループの3銘柄をコンプリートしたいところですが、保有期間のしばりがあり難易度は高くなっています。
注目銘柄は10,000円分の自社グループでの買物券がもらえるヴィレッジヴァンガードコーポレーションです。近所にお店のある投資家にとってお得な優待になります。
11月の権利確定銘柄はキャンドゥ、イーサポートリンク、壱番屋、スターマイカが姿を消して新規導入企業が増えたためラインナップが随分変わりました。
東邦レマック1銘柄。クオカードです。
12月はビール会社、お菓子メーカーをはじめ魅力的な銘柄が沢山あります。ヒューリックのようなカタログ系優待も人気があります。12月は3月に次いでわくわくする月間です。