債券投資とは、国、地方公共団体、企業等が資金調達のために発行する債券を投資家が購入し、投資家が債券の発行体から利息を受け取る投資をいいます。
・安定した利息収入
債券は予め利率が決まっているため、よほどの事が無い限りキャッシュ・インフローの額は決まっています。
・高格付けの債券は安全
債券は発行体の信用度によって格付けされています。日本国債のように格付けの高い債券は、元本が返済されないリスクが極めて低く、株式投資と比べて安全性が高いといえます。
・分散投資に組み込める
債券は株式、投資信託と異なる値動きをします。したがってポートフォリオに組み入れて、リスクの分散を図る事ができます。
・金利リスク
債券価格は金利が上昇すると下落する関係にあります。
・中途売却に制約を伴う事がある
債券は基本的に満期まで保有するもので、中途売却が禁止されていたり、手数料を取られる場合があります。市場価格によっては元本割れをしてしまうので注意が必要です。
・物価上昇リスク
インフレ状況下では受取利息が実質的に目減りする事になります。
もう少し詳しい内容は「3. 債券投資のリスク」に記載しています。
債券には、国債、地方債、政府関係機関債、金融債、社債、特定社債、外債があります。このページでは私たちに最も身近な国債を中心に説明をいたします。
国債は償還日までの期間により細分する事ができ、個人向け国債は次のように区分する事が出来ます。
商品名 |
変動金利型10年満期 |
固定金利型5年満期 | 固定金利型3年満期 |
満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
変動・固定 | 変動金利 | 固定金利 | 固定金利 |
設定方法 | 基準金利×0.66 | 基準金利-0.05% | 基準金利-0.03% |
下限 | 0.05% | ||
利息の受取 | 年2回 | ||
購入単位 | 最低1万円から。1万円単位で購入可。 | ||
償還金額 | 額面100円につき100円で償還。 | ||
解約手数料 | 中途換金調整額=直近2回分の税引き前利息相当額×0.79685 |
国債は毎月発行され、証券会社、メガバンク、地銀、信託銀行、信用金庫、ゆうちょ等で購入できます。
国債以外の債券は社債が有名で、それ以外の債券は一般投資家に販売されていません。表形式で簡単にまとめました。
地方債 |
地方公共団体の発行する債券。原則取得できるのは地域住民に限定。 |
政府関係機関債 | 独法・政府関係が特別法に基づいて発行。一般向けではない。 |
金融債 | 特別法に基づいて発行。一般向けではない。 |
社債 |
民間事業会社が発行。証券会社で購入できるものもあり。 転換社債型新株予約権付き社債など特殊な債券もあり。 |
特定社債 | 資産担保証券の一種。一般向けではない。 |
外債 |
居住者が国内で発行した債券以外の債券。 海外の発行体が円建てで発行したものをサムライ債という。 外貨建てで発行されたものは外貨債という。 |
債券投資は一般的に定期預金より高い利回りが見込め、株式投資より安全であると言われます。しかし債券投資にもリスクはあります。
1つ目は債券の金利リスクです。金利リスクは金利の変動に伴う債券価格の変動のリスクをいいます。これは債券の価格と金利がトレードオフの関係にあり、金利が上昇すれば債券価格が下落するからです。
金利リスクは償還期限の長い債券のほうが大きくなります。また高クーポン債と低クーポン債では金利が変動した場合の価格変動幅は低クーポン債のほうが大きくなります。さらに他の条件が同じであれば、変動利付債より固定利付債のほうが価格の変動が大きくなります。
2つ目は信用リスクです。信用リスクは債券の発行体が債務不履行に陥って額面通り償還されなくなるリスクをいいます。
信用リスクの管理は私たちが発行体の事業環境や財務諸表を読んで検討するのがあるべき姿勢です。しかし検討には専門的な知識が求められるので、格付機関が公表する債券の格付けを参考にするのが一般的です。
格付けではトリプルAからCまでの9段階で債券の信用リスクを評価します。格付け機関としてムーディーズやスタンダード&プアーズ(S&P)等があります。
3つ目はカントリーリスクです。発展途上で政情不安定な国の国債は元利金の支払いの遅延やデフォルトする可能性が相対的に高くなります。
4つ目は為替変動リスクです。外貨建ての債券の場合、為替相場の変動によって為替差損益が発生します。
5つ目は流動性リスクです。流動性リスクは好きなときに売買できず損失額が広がる事を意味します。
例えばトヨタ自動車の株式の場合、取引が活発に行われているので好きなタイミングで売買できます。買い手が沢山いるので売るのに困らないのです。
これが流動性の低い有価証券になると買い手がなかなか現れないので好きなタイミングで売ることができません。そのため希望額を大きく下回る金額で売却せざるを得ないときがあります。これが流動性リスクです。
国内円金利のうち長期金利動向を主導しているのが、10年物として発行される新規発行の長期国債の市場利回りです。この利回りの変動を受けて、長期プライムレートや政府系金融機関の基準貸出金利などが連動して動きます。
長期国債市場売買利回りには、取引所利回り、(日本証券業協会公表の)売買参考統計値、業者間利回りの3つが併用されています。
内外金利差の変動は円ドル相場に大きな影響を与える傾向にあり、米国の株価の行方を占う上でも米国の長期金利は重要となります。
米国の長期金利の代表とされるのが10年国債の市場売買利回りになります。